司法書士法人 御池事務所

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取扱業務

許認可

医療法人の運営

1.役員変更

理事、監事等が任期満了によって退任したり、辞任・解任、又は新たに改選、増員、補欠等により理事長、理事、監事に選任された場合は、その変更届を都道府県知事もしくは所管の地方厚生局長に提出する必要があります。

A.任期満了による退任、改選

一般的な医療法人の定款(寄付行為)においては、役員(理事・監事)の任期は、2年と定められています。これは、医療法人の運営は社員の意思に基づ いて行われますが、現実の業務を処理や、業務や財産状況の監査等は、それぞれ社員総会で選任された理事や監事が担うこととなります。したがって、これら役 員の選任は、社員の意思を実現する重要な機会となり、その機会はできるだけ多く設けられ、社員の意思ができるだけ直截に反映されたほうが社員の利益となり ます。一方で、任期を短期間に設定しますと、選任された役員が長期的な視点に立った医療法人の運営が困難となるおそれがあります。そのため、モデル定款・ 寄付行為(厚生労働省の作成した医療法人の定款・寄付行為の作成例。通常はこの例に沿って定款・寄付行為を定めます)においては役員の任期を2年と定めて います。

理事又は監事となっている方が退任し、他の方が理事又は監事として就任した場合は、役員変更届を添付書類と共に提出します。役員が全員重任(理事又 は監事として同じ方が再任されること)した場合には届出は必要ありませんが、下記のように理事長は登記されているため、登記完了後、登記事項の届出が必要 となります。

B.氏名の変更

役員(理事長・理事・監事)が婚姻・離婚、養子縁組等で氏名の変更が行われた際は、氏名変更の届出を行います。

C.住所の移転

役員が住所を移転した場合も、変更の届出を行います。特に、理事長の住所は登記事項となりますので、変更の届出後、法務局にて変更登記を行い、登記完了後、主務官庁に対し登記事項の届出を行います。


2.事業報告書等の届出

医療法人の理事は、毎会計年度終了後2か月以内に、事業報告書・財産目録・貸借対照表・損益計算書を作成し、監事に提出しなければなりません。別途、毎会計年度終了後2か月以内に資産総額の変更登記も行います。登記完了後は、登記事項の届出を行います。

監事は、毎会計年度終了後3か月以内に監査報告書を作成し、社員総会又は理事に提出しなければなりません。

事業報告書等と監査報告書は、毎会計年度終了後3か月以内に主務官庁に届け出ます。

事業報告書等の届出
3.定款の変更

医療法人の定款・寄付行為を変更するには、主務官庁(1つの都道府県のみに病院・診療所を開設する法人では都道府県知事、2つ以上の都道府県に病院・診療所を開設する医療法人においては、地方厚生局長)の認可を受けなければ、効力が発生しません。

医療法人の定款には、法人の名称・開設する病院、診療所の名称、開設場所を具体的に定めますので、以下の場合は、社員総会にて定款変更の議決をした後に、主務官庁の認可が必要となります。

  • 法人の名称変更
  • 新規診療所(分院)の開設
  • 既存診療所(分院)の廃止
  • 既存診療所の移転
  • 役員定数の変更
(1) 法人の名称変更
法人の名称を変更する際は、新規に法人を設立する際と同様に、既存の医療法人と類似した名称を法人名としたり、取引会社等関係する会社の名称を用いたりすることはできません。この名称の変更に際しては、担当の主務官庁(都道府県や地方厚生局)との綿密な打ち合わせが必要となります。
(2) 新規診療所(分院)の開設
医療法人が新たに分院を開設する際は、定款において定めている、開設している病院・診療所の名称・開設場所についての部分を変更しなければならず、この定款変更については、社員総会における議決後、主務官庁の認可を受けなければなりません。分院開設の流れは以下のようになります。
分院開設の流れ
したがって、分院の開設のための定款変更認可申請から、分院における診療を開始するまで、約3か月から4か月程度の期間を要します。また、分院を開設する際には、主務官庁の担当者との綿密な事前相談が必要となります。定款変更認可申請に添付する書類も、予算書・事業計画、賃貸借契約書等多くの書類を求められますので、計画から診療開始までは、約6か月から8か月程度を要します。
(3) 既存診療所(分院)の廃止
分院の廃止についても、先に述べた診療所の新規開設と基本的には同様の手順で手続は進みます。
分院の廃止の流れ
したがって、分院の閉鎖のための定款変更認可申請から、分院における診療を廃止するまで、約3か月から4か月程度の期間を要します。場合によっては、さらに長期間を要する可能性もございます。また、分院を廃止する際には、新規開設と同様に主務官庁の担当者との綿密な事前相談が必要となります。特に、地域医療の重要な部分を担う保険診療を中心としている病院・診療所の場合は、主務官庁の担当者との綿密な打ち合わせを要しますし、その際には廃止の明確な理由の説明が求められます。
(4) 既存診療所の移転
既存診療所の移転は、手続的に、既存診療所の廃止と新規診療所の開設の二つの手続を同時に行うこととなります。
既存診療所の移転の流れ

したがって、診療所の移転のための定款変更認可申請から、診療を開始し、これまで診療してきた診療所を廃止するまで、約5か月から6か月程度の期間を要します。また、診療所の開設と廃止を伴いますので、主務官庁の担当者との事前相談も長期間に渡り行われ、特にこれまで地域医療の重要な部分を担ってきた診療所については、移転についての必要性を、充分に説明しなければならないと思われます。

定款変更認可申請に添付する書類も、予算書・事業計画、賃貸借契約書等多くの書類を求められますので、計画から診療開始までは、約8か月から10か月程度を要します。

(5) 役員定数の変更
医療法人が発展してゆく過程で、役員を増員しようとする場合、定款に定めた役員定数が不足する事態も起こりえます。また、新規に診療所を開設する場合、その開設する診療所の管理者は、原則的に理事に加えなければなりませんので、理事の定員が不足する事態が起こります。
この場合も、社員総会で役員定数を増加する決議をするのみでは、効力が発生せず、主務官庁の定款変更認可が必要となります。
4.主たる事務所の移転、従たる事務所の設置・移転

これまで定款に記載した事項に変更を加える場合は、社員総会にて定款の変更を決議するのみでは効力が発生せず、その後に主務官庁の認可が必要な場合を見てきましたが、定款に記載する事項であっても主務官庁の認可を要しない変更もあります。

医療法人の「事務所の所在地」について、医療法は定款に記載しなければならないと規定しています。しかし、その変更については認可を要する定款変更の例外として、医療法施行規則によって認可を受けなくとも効力が発生するものと規定されております。

手続の流れとしては以下のようになります。

主たる事務所の移転、従たる事務所の設置・移転手続の流れ

しかし、一般的に、事務所の所在地は、病院・診療所の開設場所と同一となります。事務所の所在地と病院・診療所の設置場所を別にする場合、事前又は事後に主務官庁に対し、その理由を説明するよう求められることがあります。病院・診療所の運営上、及び、主務官庁・管轄保健所との連絡を密にするという観点からも、運営する病院・診療所の開設場所と事務所の所在地は、同一とすることが望ましいといえます。


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