商業・法人登記
資本金の増加
資本金は、会社の規模や信用をはかるためのひとつの基準になるものです。会社が事業の拡張や新規事業の開始等で新たに資金が必要になった場合に、金 融機関以外からの資金調達の手段として資本金を増加する方法があります。募集株式の発行や剰余金・準備金の資本組入れなどがあります。いずれも会社法に規 定された手続きを踏み、登記申請をして会社登記簿に反映させることが必要となります。
募集株式の発行は、株主に対して持株比率に応じて株式を割当てる株主割当とそれ以外の第三者割当てに分けられます。会社の役員や縁故者、取引先等が株式を引け受ける場合も第三者割当の方法による増資になります。
会社が新株を発行するときは、割当ての方法、公開会社か非公開会社かによって、取締役会または株主総会で募集事項を決定することになります。
【必要書類】株主総会議事録 取締役会議事録 申込みがあったことを証する書面 払込みがあったことを証する書面 資本金の額の計上に関する書面
減資
会社の事業規模の調整や税金対策などの理由で、資本金を減少することが会社経営に有効となる場合があります。資本金を減少したときは、その登記を申請する必要があります。
資本金の減少は株主総会の決議が必要になります。また、資本金は会社債権者に対する担保として会社に留保すべき財産額を示すものですので、これを減 少するためには会社債権者に対する公告・催告等の厳格な手続きが要求されます。資本金減少の効力が発生するのは、株主総会で決議した日から少なくとも1ヶ 月後となりますので、目的に合わせたスケジュールを作ることが必要です。
【必要書類】株主総会議事録 債権者に対する公告 催告を証する書面
新株予約権
将来会社に対して新株の発行を請求することが可能な権利が新株予約権です。(会社法2条21号)会社が新株予約権を付与する際は、原則、株主総会の 決議で綿密にその募集事項を決定することが必要です。募集事項は登記簿に反映され、公示されることになりますので、その登記が必要になります。
会社が新株予約権を発行する目的としては、会社の資金調達手段としての発行、ストック・オプションとしての発行、敵対的買収に対する防衛手段としての発行などがあります。
新株予約権に関する制度には様々な可能性が秘められていますが、現段階では、専らストック・オプションの目的で利用されています。新株予約権という 潜在的株式を従業員等に付与しておき、付与を受けた者の行使があったときは、新株を発行するという制度です。新株予約権を行使した者が、「現在の株価」- 「付与時の株価」の分だけ利益を得られますので、従業員のやる気を促し、結果的に会社の業績向上を図ることができるという機能があります。
新株予約権を行使した際は、発行済株式と資本金が増加しますので、やはり登記が必要となります。また、付与を受けていた従業員が会社を辞めた等の事 由により、新株予約権が全く使い道のない状態になることもあります。こういう場合にも、その新株予約権を消却することによって、実質的な潜在的株式数を公 示する必要が発生しますので、取締役会の決議によって決定し、その登記申請をすることになります。